「この人に会いたい」から始まる。ヒトの魅力に出会う旅「イキダネプロジェクト」とは?

PROJECT INTERVIEW vol.1【イキダネプロジェクト】


あなたにとって、「記憶に残る旅」とはどんなものでしょうか?

パッケージツアー、観光名所、ご当地グルメ…地域の「良い」と言われるものを余すことなく楽しむこともいいけれど、なんだかそれだけでは物足りない。人の思い出に残り、思い出したくなる旅には、必ずその場所の「ヒト」の存在がある。そんな「地域に生きるヒトの魅力」にフォーカスした、「イキダネ!プロジェクト」。企画の飯塚さんと小島さんにお話を伺いました。


- 「イキダネ!プロジェクト」とは

「地域の魅力はヒトにあり」をコンセプトとし、チームファンタジスタのメンバーが直接出会い、素敵だと思った日本各地の”ヒト”に会いに行く旅の提案。魅力ある地域のヒトにフォーカスし、地域のいいコトモノを伝えるツアー。ヒトとの交流を通してコアなファンをつくることで、地域との継続的なコミュニケーションを図る企画です。


− 「イキダネ!プロジェクト」を始めたきっかけは何ですか? 

小島: 入社して2年目の時に携わった仕事で、益子焼や日光彫、結城紬など、栃木の伝統工芸品の職人の集まる委員会「とちぎの技委員会」という団体の方々と話す機会がありました。それまで”伝統工芸”というものに対するイメージは極めて保守的なものだったのですが、実際に会い話してみると、思っているよりずっとクリエイティブ!そこから、「この人の考え方って面白い!」「もっと栃木の伝統を多くの人に知ってもらいたい!」と思うようになりました。ファンタジスタのメンバーにこの話を伝えたところ、話が盛り上がり、「じゃあ、皆で会いに行ってみよう!」となりました。

 初回は、益子焼の窯元の老舗である『つかもと』の関さんという方をゲストに招き、ホテル アール・メッツ宇都宮のラウンジで益子焼についてレクチャーしていただいて。その時はホテルにも告知を出し、宿泊客の方にも参加をしてもらっていましたね。それが「イキダネ!」の前身となるプロジェクトでした。

飯塚: 自分自身も、ファミリーオ・フォルクローロというホテルを担当し、ホテルの仕事を通して地域に携わってきました。関われば関わるほど、ホテルのある地域がまだまだ世に知られていないということを実感して。「それなら、情報発信するしかない!」と思ったものの、頼れる誰かがいるわけじゃない。そこで、それなら自分たちでやるしかない!と思い立ち、自分の足で地域の魅力を探し、取材し、カメラを片手に写真に収め、フリーペーパーを発行するという企画をしていました。

飯塚: 「田沢湖の夕日がめちゃくちゃキレイ!」という話があっても、それを表現する手段としての「写真」が手元になかったりする。「それなら、」と、カヤックを漕いで写真を撮りに行ったりもしました。仕事がきっかけで始まった、”自分の足で地域を訪れ魅力を探すこと”。それがいずれ、自分の中でライフワークのようになっていきました。  

そして徐々に、仕事で関わる地域で「じゃあ、次はプライベートで一升瓶持って遊びにいきます!」という自然な流れでもう一度その地域を訪れたりもして。そこから、「今度は友達と一緒にいきたい!」と思ったり、SNSへの投稿に共感して「ぜひ一度行ってみたい!」と言ってくれる人が出てきたり。そんなつながりの中で徐々に「イキダネ!プロジェクト」の種が育っていきました。

飯塚: 大切なのは「自分が直接つながった手触り感」。今まで経験したことで、何が楽しかったのか?と思い返してみると、そこにあるのは”人に会いに行くこと”と紐付いていることに気づきました。全ては”誰か”と出会い、友達になることから始まっています。「この人がいるからまた来年来よう」「このおばあちゃんのご飯もう一回食べたいな」そんな素直な思いが原動力になっているのかもしれません。


− どんな思いで毎回の「イキダネ!ツアー」を企画していますか? 

小島: 「いいな、と思ったものを共有したい」というシンプルな気持ちからはじまっています。個人的に旅行やホテルが好きでよく行っていたけれど、記憶に残っているのは、九州の一人旅で泊まった宿のお兄さんの優しさや、島根の湯町釜の窯元のおじいちゃんに聞いた歴史など、現地の人と話して体験してきたこと。私は「本を読んで人生が変わる」ということはないけれど、「誰かと直接出会って人生が変わること」はあるのかもなあ、と思います。  

 飯塚: 会社の仕事がきっかけで、地域に行く機会がとても多く、気づけばいろんな地域をどんどん好きになっていましたね。深く知ると面白い!と思える魅力ある場所が日本にはたくさんあるなあ、と強く感じて。自分は、そんな面白いことを伝えていく編集作業をすることで、何か地域に対して役に立てることがあるのではないかな、とも思います。


- 「イキダネ!ツアー」をやっていて”楽しい瞬間”はどんな時ですか? 

飯塚: 自分の手を離れたところでも盛り上がって、みんなが勝手に楽しんでいるのを見る時が楽しいですね。自分が企画だったけれど、自分が行けなかった時でも、勝手に友達が話を進めていろんな新しい人たちが友達になって、楽しんでいる姿を見るのは嬉しい。自分がいけなかった時は、もちろんすごく悔しいけど(笑)。

小島: 「イキダネ!ツアー」自体も回数を重ねるごとに、リピートしてくれる人たちが増えていることが最近では嬉しい。「イキダネ!なら信頼できる」「かならず面白い人に出会える」、そんな信頼につながっていることが嬉しいし、これからもそんな機会を増やしていけたらいいなと思います。  


− 未来の「イキダネ!プロジェクト」はどんなものにしていきたいですか?

飯塚: 「面白い人に会いにいきたい」そのコンセプトに共感してもらう人にぜひ来てほしい。もちろん、それはJRという会社の垣根を越えて、共感が広がって行けばと思っています。「イキダネ!」を事業化していきたい想いもあるけれど、どうしてもツアーは少人数になるし、量産することもできない。どう継続していくか、どう企画をしていくかはまだまだ思案中。ただし「地域の価値を高める」ということ自体は、所属している会社の実現するべき未来としっかりマッチしていると思うので、やる意義がとてもあると感じています。 

小島: 駅は必ず地域の中に存在し、そしてそこには駅長や駅にまつわる様々な人がいる。人的なリソースも会社として持っているというのが、今会社員でありながらでやることの強みだと思う。会社であるからこそ実現できる「まちとの接しかた」を模索していけたらいいなと思います。 

小島: これからも「ここに行きたい」「この人に会いたい」そんな気持ちから企画するツアーであることは変わらない。仕事で出会った人、同期や友人など個人的なつながり、家族や親戚など、各地域に精通している人はいっぱいいる。「イキダネ!プロジェクト」としてのクオリティも担保しながら、コーディネートできるメンバーも増やしていきたいな、とも思っています。  

飯塚: できれば、”旅の形”を変えたい、と思っています。それは、「イキダネ!ツアー」のように魅力あるヒトに会いに行く旅は、きっと型通りパッケージされた旅行よりも楽しいと思うから。自分たちがJRという地域に根ざした鉄道事業を主幹としている会社にいるからこそ、もっとできることがある、と思っています。  

「人が動く仕組み」をどうやって作っていくかが今後のテーマ。「イキダネ!ツアー」を通じて、実現できたらいいなあ、と思っています。


[イキダネ!プロジェクト メンバー]

飯塚 大輔(Daisuke Iitsuka)※写真左: 

チームファンタジスタ創設メンバー。2005年に東日本旅客鉄道(株)入社。日本ホテル(株)、秋田支社を経て本社のファミリーオ・フォルクローロ事業に携わるなか、東日本エリアの各地と広く関わるように。釜石ホテルプロジェクトの立ち上げから開業まで中心を担い、2016年から再び日本ホテル(株)勤務。趣味は読書、山登り、バンド活動など多彩。食のセンスも良く料理上手、BBQの企画力には定評がある。 


 小島 由佳子(Yukako Kojima)※写真右: 

同じくチームファンタジスタ創設メンバー。2010年、東日本旅客鉄道(株)入社。日本ホテル(株)や東京支社にて首都圏のホテル事業や開業、旅行事業に携わる。2015年より仙台ターミナルビル(株)にて勤務しながら、仕事やイキダネ!ツアーを通じて東京と東北の各県を飛び回る。自身が国内外問わず、大の旅行・ホテル好き。美味しいご飯を食べたりスパに行くなど興味を持ったことを積極的に楽しんでいる。



取材・文 / 大久保 真衣

team Fantasy-sta.

わたしたちは、「遊ぶように働き、働くように遊ぶ」をプロジェクトベースで実践するチームです。

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