100回記念企画 スピンオフ企画「“根府川駅ペンキ塗り塗り大作戦”で見つけた自分の価値観」横内秀理さん

「F-MTG(ファンタジスタミーティング)」の100回記念特別企画、「“遊ぶように働き、働くように遊んだ"わたしたちの軌跡」では、メンバーのこれまでをインタビューを通じて伺ってきました。

今回は、その中でも特にメンバーに大きな影響を与えた出来事を深掘りするスピンオフ企画です!


第1回目は、考えるより行動することで自己理解を深めてきた横内秀理(よこうち しゅうすけ)さんが、自分の“やりたいこと”に気がつくきっかけとなった「根府川駅ペンキ塗り塗り大作戦」について深掘りしました。


横内さんのインタビュー記事本編「モンモンと考えるより、行動でわかる“やりたいこと”」はこちらからご覧ください!


「根府川駅ペンキ塗り塗り大作戦」が実現するまで

―チームファンタジスタ100回記念特別企画で話されていた「根府川駅ペンキ塗り塗り大作戦」について、開催することになったきっかけを教えていただけますか。


根府川駅ペンキ塗り塗り大作戦は、東海道線の無人駅”根府川駅”の外壁を近隣住民の方々と一緒に塗り替えるイベントで、職場の上司から「無人駅を使って、近隣住民の人たちと面白いことしようよ」と誘ってもらったことがはじまりでした

何をするのかよく分からないまま、「やりましょう!」と二つ返事をしたことをよく覚えています。何となく、上司の言葉が自分の琴線に触れたんです。蓋を開けてみると、地元の方から「無人駅を改造したい」という要望があったことがわかったので、「どんなことからこのプロジェクトを始めれば良いんだろう…?」と、全くイメージがないところから考えていきました。その結果、住民参加型のこのイベント開催に辿り着きました。


―自分の琴線に触れたということでしたが、何が自分の想いと共鳴したと思いますか。


元々、その上司とは趣味が似ていたんです。例えば私と上司は『ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり』(嶋田洋平著、日経BP社、2015年)という本が好きだったり、その本の中で言われている「まちづくりはコンテンツづくりだ!」という内容にすごく共感していたり。そんなお互いの考えに共感する下地があったところに、「駅で新たなコンテンツ作りをする」という話をもらったので、すぐにやりたいと思えたんだと思います。



―全くイメージがないところから企画を始め、イベントを実現するまでは、色々な調整があったのではないでしょうか。


そうですね。かなり色々な苦労がありました(笑)。社内調整の他にも地道な準備が多く、図面を見たりカラーサンプルをたくさん取り寄せたり、片道1時間かけて駅を見に行ったり…。大変なことばかりでしたが、上司と一緒になって社内を走り回り、粘り強く調整を繰り返しました。その方法を手取り足取り教えてくれた上司には、今でもとても感謝しています。


―イベント当日は、どんな雰囲気だったのか教えてください。


駅近くの住民の方々や周辺企業の方、根府川駅の名誉駅長、そして私と同じ職場の人たちなど、総勢30名程度の方が参加してくれました。大々的な告知をしていない中で、こんなにたくさんの人が集まってくれたと思うと、とても嬉しかったです。


(イベントの様子。小さいお子さんも一緒にペンキ塗り塗りに参加してくれました。)


(ペンキ塗り塗り大作戦で新しく生まれ変わった根府川駅。)


人の想いを受け継いで“新たなかたち”を生み出す

―今回の活動を経験して、自分の「好き」や「やりたいこと」を改めて言語化するならどう表現されますか。


私は、昔からあるものに新しいコンテンツを吹き込んで、“新たなかたち”として世の中に出していくというプロセスがすごく好きなんだと思います。それは建物とか、まちづくりだけじゃなくて、家具とか他の分野でもきっと同じです。でもこんな風に「好き」を言語化できるようになったのは「考えるより行動すること」を繰り返してきたおかげだと思っています。


―チームファンタジスタの活動を通して、自分が大事にしている価値観に気付いたというのは素敵なことですね。


これはファンタジスタの恩恵だと思っていて、「自分はこういうことが好きです」とチーム内で発信すると、メンバーが「こんな楽しいことあるから横内くんもおいでよ~!」と声をかけてくれるんです。そしてそのまま、流れに身を任せて飛び込んでいくと、いつしか自分の好きなことが周りに溢れている状態になっていました。

もしかしたら、ファンタジスタは、「あ、きっとこの活動はこの子に響くな」と察知してくれるプロ集団なのかもしれませんね(笑)。

私の場合、それらを集積させることによって、自分の価値観に気付くことができました。


例えば、ファンタジスタメンバーの小島さんが紹介してくださった方で、今でも仲良くさせてもらっている山形の家具のリペア職人・須藤修さんがいます。

須藤さんは、生まれ育った山形を拠点に家具のリペアやデザインのほか、クラフトストアのプロデュースや、デザインレーベル「山の形」の立ち上げといった活動をされています。「ここにあるものを生かす」という須藤さんの考え方ともすごく共鳴するところがあって。これも、昔からあるものに新しい価値を付けて世に送り出すという意味では、同じことだと思っています。


チームファンタジスタでの活動で見えてきたこと

―「自分はこういうことが好きです」と発信して自分の「旗」を立てることが難しいと思う人もいると思いますが、どうしたら自分のことを発信する一歩を踏み出せるのでしょうか。


“行動あるのみ”だと思っています。

自分からまず何かやってみること。そしてその行動が自分の琴線に触れるのかどうか、行動で確かめることが大事だと思います。いろんなイベントやコミュニティに顔を出すことで、逆に「あ、これは自分の琴線に触れないんだな」と知ることもありました(笑)

ちなみに、一体何から始めればいいか解らない!という方がJRグループにいらっしゃれば、ファンタジスタで「私を巻き込んでください!!」って宣言してみてください。私同様、あっという間に何かに巻き込まれると思いますよ(笑)


―横内さんはチームファンタジスタの他にも様々な活動をしている印象ですが、そのモチベーションはどこから来るのでしょうか。


実はチームファンタジスタの他にも、約50の企業内有志団体が集う「ONE JAPAN」への参加や、出身大学で組織している「早稲田都市計画フォーラム」の執行役員など、外部の活動に参加しています。

モチベーションは「なんだか楽しそう!」という好奇心です。それ以外ありません!私は、飛び込む前にはとやかく考えないタイプなんです。

とは言え、それらのコミュニティに飛び込んでみた当初はなかなか楽しさを見出せずにいました(笑)。それは私がモジモジしていて、誰とも上手に話せずにいたからなのですが…。でも今は、その壁もなくなり、普段の生活や仕事では出会えない素敵な人たちと会話する機会を得られ、次の活動のヒントや原動力になるため楽しく参加させて頂いています。やはり、行動し続ければ、なんとかなるものですね(笑)。


―100回記念特別企画では、「自分のやりたいことがわからず、葛藤した時期もあった」とお話しされていました。そんな時期がありながらも様々な活動を途中で辞めることなくいられた理由を教えてください。


つらい時期があっても辞めずに続けられているのは、純粋に周りの人の話が面白かったからだと思います。

ファンタジスタにおいても私は最初モジモジしていたので、自分の考えややりたいことを発信出来ずにいました。


けれど先輩方の自由な活動には興味津々で、聞く専門でしたが毎月ミーティングには参加させていただいていました。

そんな形で参加している内に、いろんな活動に誘っていただき、参加することで自分の価値観が固まり、いつしか発信する側になっていたなと。ふと気づいた頃には、ここを自分の居場所にすることができていたなと思います。


私たちの会社は大きい会社だからこそ、自分のやりたいことがすぐに実現できないジレンマもあります。そんな中、ファンタジスタのメンバーは、自分の夢ややりたいことを実現するための筋道や抜け道を示してくれる貴重な存在です。「自分のやりたいこと」をしっかり持っている人が社内にたくさんいて、その人たちがチームを組織しているというのは、すごく素敵なことだと思っています。



横内 秀理

1990年生まれ。大阪府出身。チームファンタジスタ共同代表。靴職人の父の元に生まれ、名前の秀理(shusuke)は靴のshueに由来する。2014年東日本旅客鉄道入社後、建築をメインに現場経験を積み、現在は駅ビル開発を担当。無人駅のDIYや行政を巻き込んだ活用方を動きながら実現。”動きまくる姿を見せてメンバーの背中を押す"のがポリシー。「社内イラスト屋」としてプレゼン資料のイラストやロゴも手がける。



編集:大沼 芙実子、菊池萌子


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